godlh
あゆみは、ただコートに立っているだけだった。
何もしていない。
 もし、あゆみがゴール下にいる時に、誰かがパスをしたなら、この試合は勝っていたかもしれない。
 負けた理由があるとすれば、それは、あゆみを無視し続けたまわりの生徒たち、梢や、リアにあるとしか思えなかった。
「あぁ、負けちゃった。」
「ホント、誰かさんが何もしないからさ。」
「役に立たないなら、試合に出なければいいのにね。」
非難は、何もしていないあゆみに向けられた。あまりに一方的な意見に、あゆみも黙っていられなかった。少し語気を強めて言った。
「だって、梢は、“パス”って言っても、パスしてくれなかったじゃない・・・。」
うっすらと涙が浮かんだ。
「リア、なんか聞こえたぁ?」
「ううん、なぁんも聞こえないよ。」
そこには、優しかったふたりの面影はなかった。
「こ、梢。リア。」
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