godlh
とても大きなDIYの店に、僕はいた。何度か来た事はあったけど、いつもゲームコーナーから、ペットショップ、そしてマックといった感じのお決まりのコースばかりで、それ以外の場所は、全く足を踏み入れた事はなかった。
でも、店員に聞くのは嫌だった。
最近、テレビのニュースとかで、同世代のやつらが誰かを殺したとか、そんなニュースが世間を騒がせている。だから、僕が「銀のナイフはどこですか?」なんて聞いたら、絶対に大騒ぎになるに決まっている。そんな風になったら、学校や家に連絡されたりするだろう。そう思うと怖くて聞けなかった。
店内をうろつく。同じ所を、何度も、何度も通った。でも、お目当ての“銀のナイフ”は見つからなかった。
その時、僕の目にディスプレイされているテントが見えた。
何か頭にモヤモヤするものが表れた。でも、それが何かモヤモヤしすぎてわからない。もしかしたら、重要なヒントになるかもしれないのに、全然何を意味しているのかわからない。
イライラが思わず顔に出ていた。
そんな僕の顔を見て、どこかのおばさんが驚いていた。それに気がつくと無性に恥ずかしくなり、その勢いでそのテントの方へと僕は走った。
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