godlh
―――愛内さん。

情けない僕の前に、彼女の顔が優しく微笑んでくれた。
震える足を、両手でしっかり掴んで止めた。
心を奮い立たせるために、何度も、何度も、自分自身に声をかけ続けた。
だんだんと、気持ちが落ち着いてきた。
愛内さんを助けるためにここにいる僕が、逆に愛内さんに助けられてしまった。
その事に、少し情けない気持ちになったけれど、その気持ちは、自分自身のふがいなさからだと知っていた。
だから、忘れる事にした。
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