godlh
「どうかした?」
彫野の些細な言葉でさえ、あゆみにとっては甘美な言葉になっていた。
「ううん。何でもない・・・。」
「そう?なんか、さっき梢ちゃんと話してた時に、ジッとこっちの方を見てたからさ。」
「ホントになんでもないよ。」
そう彫野に言ったものの、あゆみは、昨日芽生えた殺意、それよりも遥かに大きな殺意を押さえ込むのに必死だった。
「そっか。」
彫野の眼は、確信していた。あゆみの心の内が手に取るようにわかった。
少しずつだが確実に、何かが進んでいた。
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