godlh

「リアちゃん。」
彫野は、リアに声をかけた。
リアの席は、あゆみの席とは離れている。梢の席の側だ。
だから、ふたりの会話はあゆみは知る事が出来ないけれど、梢は知る事が出来た。
「それでさ・・・。」
会話の内容は、本当に何でもない事だ。昨日のテレビの事とか、授業の事とか、普通の中学生がするような会話。そんな会話を楽しんでいた。
ただ、普通と違うのは、彫野の態度だ。
「面白いなぁ。リアちゃんは。」
そう言いながら、リアのおでこを軽くこづいた。他の男子だったら、絶対にしない行動を彫野は平気でやってのける。そして、それを女子たちは受け入れてしまうのだ。
「もう、彫野君ってば、ふざけないでよ。」
リアも、まんざらでなさそうだ。
何も知らない第三者がふたりの事を見たら、このふたりは付き合っているんだろうと思うはずだ。それくらいに、親密だった。
そんなふたりを、あゆみは乾いた瞳で見つめている。あゆみの下唇は、前歯で内側に押し込まれ、必死で耐えている様が見て取れた。ふたりの様子は、あゆみのギリギリ耐えられるそんな行動だったのだろう。ふたりの会話が終わるまで、ただ、ただ見つめていた。