オオカミさんと子リスちゃん
私も、数学の問題に取りかかる。


途中で、問題に詰まっていると、大上さんは
問題を覗いてきて

「ここは、こうなって…。」

と分からない問題を、指差しながら、
小声で、分かりやすく説明してくれた。


そのおかげで、その後の応用問題もスラスラ
説くことが出来た。


「大上さん、賢いですね。」

「当然!」

と、自信満々に笑顔で答える。


「俺に惚れなおした?」


と耳元で、不意打ちに話した。


突然の事に動揺し、シャーペンを床に
落としてしまった。


「急に、耳元で、言わないで下さい。」

「好きな俺の声で感じた?
そんな、照れなくても…。」

と、周りの状況にお構い無く、私の頭を
大上さんに寄せられてしまう。


「顔、真っ赤。」

心臓が、今にも大上さんに聞こえそうな勢いで
暴れ出す。


「ここ、図書館、です。
恥ずかしいから、止めて下さい。」

と言って、大上さんの手を振りほどいて
逃げるように離れ、シャーペンを拾った。


「あ~、つまんないの。」


そう言って、大上さんは、両手を伸ばし
伸びをしていた。

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