【完】神様のうそ、食べた。



「う」

「う?」


「うわあああああーーん」

地面に座り込み、霧雨からぽつぽつに変った雨を感じながら、

プツリと緊張の糸がとれてしまった。


そうだ。私がバカなのが悪い。馬鹿だから、優しいあの人の言葉に騙されて。



馬鹿だから、部長が悪くないのに恋愛から逃げて、親子の温まる光景に目を逸らして。


「色気のねぇ泣き方だな」

「部長、あの人を殴ったあの日、全部聞いたんじゃないですか?
私の欠陥部分。に、妊娠する確率が低いって。不妊治療が必要って」

だらだらと涙を零しながらそう言うと、部長はため息を吐いた。


「さあ。ぶつぶつ言ってたから殴ったけど、お前の口から聞いてないことは覚えてない」


「私、欠陥品なんです。連れていかれて、こ、子どもも産めないのかって罵られて、でも、本当で、でも、私自身が、全部全部、否定された気がして……」

でも、でも、彼は間違えていないと思う。


農家の長男さんなら、家族経営だし私なんかにお金をかけるのは大変なんだと思う。


――でも、せめて愛してるなら一緒に頑張ろうって言葉が欲しかったの。


< 102 / 281 >

この作品をシェア

pagetop