【完】神様のうそ、食べた。
「う」
「う?」
「うわあああああーーん」
地面に座り込み、霧雨からぽつぽつに変った雨を感じながら、
プツリと緊張の糸がとれてしまった。
そうだ。私がバカなのが悪い。馬鹿だから、優しいあの人の言葉に騙されて。
馬鹿だから、部長が悪くないのに恋愛から逃げて、親子の温まる光景に目を逸らして。
「色気のねぇ泣き方だな」
「部長、あの人を殴ったあの日、全部聞いたんじゃないですか?
私の欠陥部分。に、妊娠する確率が低いって。不妊治療が必要って」
だらだらと涙を零しながらそう言うと、部長はため息を吐いた。
「さあ。ぶつぶつ言ってたから殴ったけど、お前の口から聞いてないことは覚えてない」
「私、欠陥品なんです。連れていかれて、こ、子どもも産めないのかって罵られて、でも、本当で、でも、私自身が、全部全部、否定された気がして……」
でも、でも、彼は間違えていないと思う。
農家の長男さんなら、家族経営だし私なんかにお金をかけるのは大変なんだと思う。
――でも、せめて愛してるなら一緒に頑張ろうって言葉が欲しかったの。