【完】神様のうそ、食べた。
大人しそうというか地味というか、真面目というか。
初対面でもそんなに打ち解けて話せないし、
小さいころから活発でおしゃべりな弟の聞き役したり、流されてたから、あまり自分の意見を言ったり話すのは苦手。
それが、大人しそうで、男の一歩後ろを歩いて着いてきそうらしく、
勘違い俺様とか我儘マザコンとかに言い寄られたことは多々ある。
『笑顔が素敵ですね』
だから初めて、穏やかで優しそうなあの人に声をかけられた時は嬉しかった。
――今は思い出したくもないけれど。
「みっなみちゃーん。そろそろ侑哉が眠りそうだよ。タクシー呼ぼうか?」
飛鳥さんが何回か侑哉の顔をぺちぺちするが、にへへと笑うだけで、結構出来あがっている。
――3杯目のビールで、この状態なら裕哉はかなりお酒が弱いのかもしれない。