【完】神様のうそ、食べた。


どんな顔をしていいのか分からず、あたふたしていると、真くんはにっこり笑った。

「えんそくで、はなそうね。ぼくがつれてきてあげるから」

そうにっこり無邪気に笑われると何も言えない。

「うん。ありがとう」

そう言うと、真君も満足したのか、ビニールシートの上に走っていく。

でも、今は部長とまともに話せないし、何を話していいかわからないし、そもそも今は会いたくないし。

気持ちが追いつかなくてぐるぐるするんだもん。

「みなみ先生と明美先生」

土を親の敵のように掘り起こしていると、園長先生に呼ばれた。

園長先生は、灰色のシスター服を乙女のように靡かせて笑いながら手を振っている。
還暦は過ぎてると笑っていたのにこの上品さ。

「そろそろ隣の教会のミサにも行ってみて欲しいんですが、大丈夫ですか?」

「ミ、ミサ!?」

「先生たちには年3回は行って貰うようにお願いしているのよ。神父は私の兄だから、そんなに本格的にはしないから大丈夫よ。子どもに教える立場ですから雰囲気だけでも知って欲しいの」

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