【完】神様のうそ、食べた。
「あの、姉弟でそんな気持ち悪くない、ですか?」
「最後まで踏み切れないなら、んなの可愛いもんだろ?
――いいから、そっから出て来いよ」
ん、と右手を差し出された。
いつも以上にぶっきらぼうな部長の声や言葉に、恐る恐る顔を上げる。
「今のお前は、あの夜があったからいるんだから、そう悪く考えなくていいんじゃねーか?」
その言葉に、胸の奥からじわっと温かいものがこみ上げてくる。
否定されないで、受け止めようとしてくれる部長が優しくて、優しくて。
人に言えない疾しいことだと思っていたあの夜が、綺麗に思い出に包まれていくような。
――部長は弱い私を受け入れてくれるんだ。
な、んで私なんかに。
そう思っても、また悪い性格がでて聞けなかったけど、
伸ばして掴んだ部長の手は、――温かかった。
優しくて、温かくて、私の手を握り返してくれた。
「ん。ほら、せっかく来たんだから向こうの景色見て帰るぞ」