【完】神様のうそ、食べた。
親子遠足が終わって、土日を挟むとすぐに部長は帰ってしまう。
福岡に。
部長はまだ私を連れて帰ろうって思ってくれているのだろうか。
家に戻れば、侑哉と明美先生がまだ居るかもしれない。
最悪、明美先生が帰っていても、侑哉はいるだろう。
気まずい。
戻りたくない。
でも、そんな状況を作ったのは、誰?
神さまでもない。
部長でも、侑哉でも、明美先生でもない。
あの夜、私が作った状況だ。
侑哉に代わりに言って貰えるからいい。
子どもが出来ないから、またフラれるぐらいなら恋なんてしなくて侑哉に守って貰えば良い。
『お前、負けんなよ』
ずっとずっと逃げてきた。
神様なんて信じてないくせに、そう誰かのせいにしなきゃ苦しかった。
私が変わらなければ、あの夜の事はずっと燻ってしまう。
侑哉にも、前を進む邪魔になる。
一歩を踏み出さなきゃ。
真君みたいに純粋に、自分の言葉を伝えたい。
声の出し方を忘れてしまっていても。
――伝えたい。