【完】神様のうそ、食べた。


真くんが迷子……?


明美先生がバスの皆を下ろしてくれた後、私の隣に座って両手を握ってくれた。



「保育園へ急いで戻りましょう? 話はそれから聞けば良いですっ」


私の携帯を奪うと代わりに明美先生が、園長先生と会話を始める。


……あ、


私、動揺しすぎてバスの見送りさえ出来ていなかったんだ。


気丈に対応してくれる明美先生が居なかったら大変な事になっていたかも。




「真くん、保育園に行きたいって朝から言ってたみたいなんです」

「保育園……に?」


「お父さんが車を洗車してる間に、お祖母さんの目を盗んで飛び出したんではって」


だったら遠くまでは行ってない……よね?


保育園バスではコースの一番最初になるぐらい真くんの家のホテルと保育園は近い。

4車線の道路を渡り、二回信号を真っ直ぐ行って右に行けば保育園。


大人なら10分も掛からない距離だ。



「迷子にはなりにくい距離だけど、真くん昨日は様子がおかしかったし」


「いや、急ごう。真くん、遠足楽しみにしてたから、遠足までには戻るつもりで抜け出したかもしれないし!」


不安で喉がカラカラに乾いてくる。




真くんに何もありませんようにー……。

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