【完】神様のうそ、食べた。
「ぱぱとはなれるの、まいかいまいかいさびしいの。
いもうとといっしょにねむってみたいの」
「うん」
「ま、ままにぎゅっとだっこしてほし……っ」
うわぁぁぁぁん
全部言い終わる前に、真くんはとうとう泣き出した。
いつもお利口で、真面目で良い子だった真くんが、やっと本音を吐き出せた。
「一個一個になるけど、叶えていこうな。真」
「うん。あっえほんやさんもやさしいこころになりますように」
鼻水をずずっと吸い上げながら、真くんは最後まで優しく純粋だ。
私が躊躇していた願いまで、代わりに願ってくれたんだから。
「みなみ」
部長は真くんを肩車すると立ち上がる。
「はい……?」
「今から警察や園長やら水族館にいる先生たちにお詫びした後、遠足行ってくる」
「分かり、ました……」
「――ありがとな」
何か言いたげに唇を震わせたかと思うと、すぐに視線を反らす。
そして頭をポンポン叩くと、ゆっくり真くんと話ながら教会から出ていく。