【完】神様のうそ、食べた。










「おかしいな。平手打ちじゃなくてみなみが抱きついてくると思ってたんだが」


――なんでそんな予想ができるんですか!


そう思いながらも顔を上げないで涙を拭く。





左頬に紅葉を浮かべた部長が、煙草を噛みながらハンドルをきる。


未だに素直になれない私は助手席で体操座りしながら顔を埋めて嗚咽を漏らしていた。



素直に部長に私の気持ちを伝えようと思ってたのに。



きっと車を買った時から、帰りは車で帰るって決めてたはずなのに、電車で帰るような思わせ振りなことを言うなんて。




「試すなんて酷い……です」


「でもお前はこうして来ただろ? 俺の方がお前の事はよく分かってるんだよ」


ポンポンと頭を撫でられて、おずおずと顔を上げる。
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