【完】神様のうそ、食べた。
「ぶ、ちょう?」
「水樹さんって呼べよ」
ぎゅっとさらに腕を回されると、煙草の匂いの中に部長の匂いが混ざってくる。
その匂いを嗅ぐと頭がぽわぽわしてきてしまう。
「まじで駅からみなみが飛び出してきたの、運命かと思った」
「な、んでですか?」
この状況、心臓に悪いから止めて欲しいのに。
「お前が終電より早い電車に乗ってたら、車で到着すんのは間に合わなかったし。
お前が気持ちが揺らいで乗らなかったかもしれない。
タクシー乗り場じゃなくバス停に向かってても会えなかった」
そんな色々な偶然が重なって部長と巡り会えたなら、
だったら少しぐらいは、良いことぐらいは、
神様に感謝してもいいのかな。