【完】神様のうそ、食べた。
水樹さんのホテルに近いこのマンションは、勿論保育園からも近いわけで。
このマンションから通う子も何人か知っているからヒヤヒヤしながらインターフォンを押す。
誰にも見つかりませんように。見つかりませんように……。
そう祈っていたら、ガチャリとドアが開く。
「いらっしゃい、みなみ」
私の顔を見た途端、甘く蕩ける表情で出迎えてくれたのは水樹さん……。
そんな顔したら、私まで照れてしま……ん?
「部長、その格好」
「ああ、急いで帰ってきたから時間無くてさ」
スーツの上から、深紫色のエプロンをした水樹さんが、ちょっぴり照れ臭げに頭を掻く。