【完】神様のうそ、食べた。
ビールとカボスゼリーを持って現れた、いかにも昔ヤンチャでした、って感じのいかついおじさんがこっちにやって来る。
サングラスに顎鬚に、一昔前の少年漫画の主人公みたいな筋肉もりもりのおじさんは、ちょっと怖い。
「ちがうよ。姉さんだよ。福岡からこっちに戻ってきたんだ」
「な~んだよ。お前に似合わん純粋そうな子と一緒と聞いて、サービス持ってきたのによ」
「姉さん、この人が俺のバイクの師匠で、この店の店長。飛鳥(あすか)さんって言うんだ」
ご、ごついのに可愛い名前。名字なのかな?
「初めまして。姉のみなみです。弟が迷惑しかかけていないとおもいますが、よろしくお願いします」
頭を下げると、すぐさま豪快に笑いながら、カボスゼリーを差し出してくれた。
「いいって。いいって。初めてのバイクにドラッグスターを選ぶなんて、若いのにセンスあるじゃねーか」
「今度、一緒に走ってよ!」
「もちろんだ。何十人と集めて、お祝いしてやるよ」