四季。彼と生きた青春
『だって、愛ってよく…わかんないし…』
『…四季』
仕方ねぇなって声が聞こえてきそうな笑みを浮かべて、彼はわたしにキスをした。
サワークリームの香りがほのかに残る、あまくて切ないキスだった。
好きの器じゃ収まり切らないこの感情は、彼の言った愛と呼ぶのか。
じゃあ仮にこれが愛だとして、その愛とやらが溢れてしまったら、それはどこに流れていくのだろう。
目から零れる涙のように、ついには消えてしまうのか。
考えてもわからない。
だからわたしには愛がなんなのかもわからない。
目の前の、焦茶の瞳にわたしを映す彼は知っているのだろうか。
愛を。
そしてその流れ着く先を。