四季。彼と生きた青春
『あっはははははは!!』
彼の顔を見たら笑ってしまった。
だっていつもドライなあの彼が、唇噛み締めて早い瞬きのなか、何かを探すみたいにキョロキョロと瞳を泳がせていたから。
…虫、嫌いなんだね。
大爆笑するわたしに彼は怒ったけど、全然怖くなかった。
『バルサン買いに行こっ』
むしろ可愛く見えて、なんだかうれしかった。
『おまえと妹って似てないんだな』
黒い虫の存在がお互い怖くて彼の部屋には結局戻れずに、初めてわたしの家に彼が泊まることになった。
夕食を済ませ、わたしの部屋に着くなり彼はそう言った。そう言えば彼は妹に会うのは初めてだった。