四季。彼と生きた青春
でも、笑っていないと怖くて仕方なかった。
散々笑って口を閉じた後に襲ってくる虚無感が、いつもわたしの影の中で首をもたげていたから。
ただ、そうやって笑うたび、誰かと視線を交わすたび、知らない声が聞こえるたび、違和感は広がり塞げない口から叫びが漏れていった。
悲鳴を抑え込んでいた手はやがて、積み重ねたズレを正すための痛みを産む手になった。
痛みを与えたあとの世界は、余計な音の聞こえない、とても穏やかな暗闇だった。
目を閉じて、開く。
そして滲み出る涙がみっともないほど心地良く、どうしようもないほど孤独だった。
でもそこに、彼だけが現れた。
そのなかに、彼だけがいた。
彼だけはその濃い色の眼差しでわたしの目線まで屈んで、その瞳で静かに眺めて、わたしが息を吐いたとき、わたしを救う、彼だけのぬくもりをくれる。
身体のどこか、奥深くから湧き上がってくるような感覚のなかで、時を止めてしまいたいと何度も思った。