四季。彼と生きた青春











『また切ったのか?』


彼の部屋のベッドのうえで向き合って、掴まれた左腕が震えていた。

…違うか。

震えていたのは涙を振りまく身体だった。


『だって…』


説明できる理由なんてない。

わたしのなかにあるズレは、わたしにも上手く口に出せなかった。


涙が出るのはわけのわからない感情が、自分自身が、そしていつか彼が離れてしまうかもしれないことが怖いから。


強い瞳が好きなのに。

どうしてだろう、いまは見てほしくない。そう思った。

わたしが彼に見せる泣き顔は、いつも汚い。


『つぎ病院いつ?』

『え、あ…あさって…』

『俺も行くから』


その言葉に余計に泣けて、彼の存在がうれしい反面、あんなところに行くわたしを知ってほしくなかった。




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