四季。彼と生きた青春
*
『また切ったのか?』
彼の部屋のベッドのうえで向き合って、掴まれた左腕が震えていた。
…違うか。
震えていたのは涙を振りまく身体だった。
『だって…』
説明できる理由なんてない。
わたしのなかにあるズレは、わたしにも上手く口に出せなかった。
涙が出るのはわけのわからない感情が、自分自身が、そしていつか彼が離れてしまうかもしれないことが怖いから。
強い瞳が好きなのに。
どうしてだろう、いまは見てほしくない。そう思った。
わたしが彼に見せる泣き顔は、いつも汚い。
『つぎ病院いつ?』
『え、あ…あさって…』
『俺も行くから』
その言葉に余計に泣けて、彼の存在がうれしい反面、あんなところに行くわたしを知ってほしくなかった。