あの子になりたい
優しさ
「そろそろ戻ろっか。」
「そーだね。」
やっぱり拓馬がいる教室に帰るのは勇気がいる。
私の気持ちを察したのか春樹がそっと手を握ってきた。
「大丈夫か?」
「うん。大丈夫...。」
その手は大きくて暖かくて私を包んでくれる。
私には想ってくれる人がいる。
困った時に助けてくれる人がいる。
だからがんばろ。
大丈夫、大丈夫。
私は自分自身に言い聞かせた。