ヒマワリ君の甘い嘘


バクバク心臓が鳴り止まない。



「ちょっと、あの…えっ!?」



ジタバタ暴れる元気もなくて、私はされるがままに、日向くんに抱きつかれたまま。



「うるさい。黙ってろ」



私の言葉は、あっけなく日向くんに返されてしまう。



言ってる事と、やって居ることが真逆過ぎてもうわけがわからないよ…


優しく(ちょっと強引だけど…)抱きしめてるくせに、
そんなキツイこと言って。



そんなことより、私の思考は何故か恥ずかしいを通り越して、両脇にぶら下がっていた手を日向くんの背中に回した。


ぎゅ。



と、私と日向くんの体温が混ざり合う。



更に体温が上昇して、暑苦しいくらいだ。


どういう意味なの?


なんで、そんなに優しくぎゅってするの?


私が背中に手を回したすぐ後、
それを返すかのようにぎゅうっと私を強く抱きしめる。



こんなの、


わけわかんないよ………



「ぐす…ううぅぅ」





どうやら私の涙腺は相当脆いみたいだ。



ボロボロと目から零れてくる。



自分がしていることの恥ずかしさと、

日向くんから香る懐かしい匂いと、

日向くんがこんなにも近くにいるのが嬉しいのが
ごちゃまぜになって、涙となって私から溢れ出した。



「なんで泣くんだよ…」



耳元で日向くんが、呆れたように呟いた。



「だって…うぇっ…急に…うわぁあん」



自分でもビックリするぐらい泣きじゃくっている。


鼻も詰まって上手く話せないし、嗚咽と鼻をすする音しか出てこない。



「あー、悪い。…嫌か?」




嫌か、なんて、

そんな言い方、ズルイよ。



嫌なわけないじゃん。


だけど、それを言葉にできない私は、首を横に振るぐらいしかできない。





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