ヒマワリ君の甘い嘘


「(と、取り敢えず、なるべく見ないようにしよう…)」



ホームルームが終わって、まだ教室は少しざわついているけど、日向くんは動じずに座っている。


授業の準備だって、前からこの学校にいたみたいに手慣れているし、先生に当てられても表情ひとつ変えずに淡々と答えていた。


静かな人だなぁ、なんて、おもわず視線を彼に向けそうになるのを必死で我慢しながらノートをとっていたから、おかげで私のノートはいつもに増してぐちゃぐちゃ。


一時間目が終わると一番に華が駆けつけてきた。



まぁ予想してたけどね…




「ちょっと!!!!!!こっち!!」



華は、隣に座っている日向くんを気にしながら私の手をグイっと引っ張ると、教室の隅っこに連れて行った。



「なによアレ!!芸能人!?小夏何か喋った!?」



「喋るも何も顔すらみてないよ」



私が苦笑いで答えると、華は呻き声を上げながら私の肩を掴んだ。



「日向葵生。アレ絶対モテるわよ」


「…うん、私もそう思う」


二人して日向くんに視線を向ける。



「あんなに顔整ってる人久し振りに見たわあたし。背だって高いし、まるでモデルね」


「あはは、…あー、苺ちゃんたちもう話しかけに言ってる。すごいなぁ」




日向くんの席に近づいていった、苺ちゃんとその友達の真中さん。


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