ヒマワリ君の甘い嘘
「立花さん風邪大丈夫ー?」
「う、うん。大丈夫…」
ダメだ…緊張して上手く喋れない……
「そっか!良かった良かった!…な?葵生!」
た、高崎くんー!?!?!?
どうしてそこで日向くんに話ふるのっ!
日向くんはもちろん、
こっちを見る。
久しぶりに見る日向くんの顔。
目は真っ黒で、あの時みた瞳が懐かしい。
「あぁ、そうだな」
一言で返事を終わらした日向くんは、またケータイへ目を落とした。
あっけなく終わってしまった、数秒間。
予想はしていたけれど、少し寂しい。
前とは違う…
私たちがいる。
恥ずかしくて、喋りたくなんてなかったのに、
声を聞いた途端、
もっと、もっと、聞きたいって思ってしまう。
「ひゅ__“キーンコーンカーンコーン”
私の勇気の塊が、チャイムによって遮られた。
私と日向くんから、2人が急いで離れていったのと同時に、教室のドアを勢い良く開けて先生が入ってくる。
おはようございマース、と教室から聞こえてくる生徒たちの声は、
私の耳になんか届いていない。
私はずっと、机の角を見つめながら、膝の上で拳を握る。
ぎゅうぅ、と爪が手に食い込んで、少し痛いな。