ヒマワリ君の甘い嘘


チラリと横を見ると、日向くんが机に伏せている。
たぶん聞いてはいないだろうけど…


きっと先生の話を聞いているフリをしているのだろう。




もう七月だっていうのに、日向くんはまだ紺色のセーターを着ている。


流石に、腕まくりはしているけれど、今の時期セーターを着ている生徒なんてほとんどいない。


まぁ、最近はクーラーが効いているから授業中は少しだけ寒いけど…




寒がりなのかな、なんて思ってバレないように盗み見る。




ーパチ





「(っやば…!)」





目が合ってしまっては、盗み見ている意味がない。


ビクっと震えた肩と一緒に、視線を先生に移した。




なんか、デジャヴ………。





「おい」




来ると思った。




待ち構えていたかのように、私はゆっくり日向くんを見る。



「……ハイ」




日向くんは机に伏せたまま、身体だけをこちらに向ける。



なんだかその姿が猫みたいで、笑ってしまいそうになった。



「さっき」



「え?」



「朝休みの時、何言いかけた?」




朝休みの時……





用があって、名前呼んだってわけじゃ無いんだけどな。







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