ヒマワリ君の甘い嘘
***
「はぁぁ!?」
教室に華の大きな声が響いた。
驚いた私は、「シーッ」と、人差し指を立てて華の声を止める。
「なになに!?あんた達いつの間にそんな仲になっちゃってるわけ!?」
さっきよりはマシになったかもしれないけど、声のボリュームはほとんど変わらない。
華は私の話を聞いて驚いたのか、口をあんぐり開けたままだ。
…まぁ、普通に驚いちゃうよね…。
「へぇ〜、まさか小夏の初恋の人が王子とはねぇ〜」
「えーと、まぁ……うん…。そうだったみたい」
「ははーん。それでまた好きになって付き合っちゃったワケだ」
そういうことに、なりますよね……
…………ん?
あれ?
私と日向くんって付き合ってるっけ?
お互い好きとは言ったけど、
恋人同士になったわけじゃない。
・・・・。
「私たち、付き合ってナイ………」
私の死んだ様な声に華は目を見開く。
「はぁ?チューしたのに?わけわかんない」
「チューって……。お、おでこにだもん…」
「どっちにしろチューはチューでしょ」
フン、と華は呆れたように笑う。
好きって言われたのが嬉しくて、
舞い上がって、
そんなこと、すっかり忘れてた…。
「なにしてたんだろう……わたし…」
頭の中がからっぽになって、抜け殻のように私はうなだれた。
「知らないわよ。本人に聞いてよね」
あぁ、もう。
やっぱりダメだな…私。
めちゃめちゃ緊張してた後に、今度はこんな気持ちになるなんて。
私の恋愛初心者!!
「どうせなら今、聞いてこれば?王子、どうせサボりに行ったんでしょ?」
華……
「うん、そうする…。ありがとうね、華」
「小夏にとって初めてのまともな恋愛でしょ?だから、私も応援するに決まってんじゃん」
そう言って、何時ものように笑う。
「う〜…華〜、ありがとー!今度私も華の悩み聞くね!」
笑っている華にぎゅ、っと抱きついてから、急いで教室を出た。
「悩みあるって、なんで分かったんだろう…」
私の背中の後ろで華が言った、その言葉は私には聞こえない。
私は無我夢中で走る、
日向くんの元へと。