ヒマワリ君の甘い嘘
少しだけ勇気を振り絞って、顔を近づけた。
「(わー、肌綺麗ー…。睫毛ながー…)」
眠っている王子は、ピクリとも動かない。
って、思ってたのに、
私がもう少しだけ近づいてみようって、顔を近づけた瞬間、彼の目が私を捉えた。
「なに見てんだよ」
「ひ、ひゅうが…くん…!」
「寝込み襲うとか、お前は男子か」
日向くんはむくりと起き上がって、ガシガシと頭をかいた。
お、おきてたの……………?
ってことは……私がいま見てたことも全部、バレてたって事だよね…!?
「(最悪……)」
それに…
「襲ってなんかないもんっ!」
顔を真っ赤にした私は、そっぽを向く。
ーサラ
何かが私の髪に触れた。
「なにっ!?」
「 髪 」
髪がどうしたっていうの!!
「ぼさぼさ。走ってきた?」
優しい笑顔、優しい手つきで、私の髪の毛を透く。
日向くんの指の隙間から、ハラハラと私の髪が肩に落ちていく。
さっきと同じくらい近い。
私は咄嗟に顔を下に向けた。
「来ないかと思った」
「うん…」
“聞きたいことがあって、来たの”
そう言うはずなのに、恥ずかしさと緊張が勝ってしまって、私のくちは開かないまま。
日向くんといると、緊張してしまうし、なにもしていなくても恥ずかしい気持ちになる。