ヒマワリ君の甘い嘘


「今日天気いいな。風がすげー気持ちいい」




私もそう思う。


今日は、凄く風が気持ちいい。



「ま、暑いのには変わりねーけど」と、彼は続けた。



「もう7月だもんね」



「そうだな」




日向くんが転校してからまだ二ヶ月しか経っていないなんて、考えられない。


ミンミン蝉が煩い鳴き声のせいで、せっかく気持ちのいい日なのに、暑苦しく感じてしまう。



私は隣に座る、目を細めて空を見ている日向くんを見つめた。



青空に照る太陽が、日向くんの肌を照らす。



こうやって、二人で屋上に居るけれど、


華が言ったとおり、付き合ってなきゃ、私たちは何なんだろう。



こんなこと、考えたことないからよくわかんないや。



私はこうやって居るだけでも嬉しいけれど






…頑張れ、私。





「日向くん…」



「ん?」




日向くんは、私の方を向く。



後悔なんかしたく無い。



ちゃんと言葉にするの。







「私……日向くんが好きだよ」





私を好きだと言った日向くんを、




照れて顔を真っ赤にしたことも、




おでこにキスをしてくれたことも、




優しく抱きしめてくれたことも、



無かったことになんかしたくない。





「な、に…」




そこで日向くんは言葉を詰まらせた。



少しだけ頬が赤い。



しばらく黙り込んだ後、日向くんは息を吐いた。




「どうした?」




眉を寄せて、ちょっとだけ心配そうな顔をした。



私がこんなこと言うから、不思議に思ってるんだ。




私もびっくりだよ、こんなすんなり言えたなんて。




保健室の時はあんなにも恥ずかしかったのに。






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