ヒマワリ君の甘い嘘
「ごめん……保健室の時、私風邪だったから…」
さっきの様にまた黙り込む、日向くん。
前髪で、表情がよくわからない。
多分、考えてるんだ。
私が急にこんなこと言うから。
「記憶だって曖昧…だし……それに、……」
曖昧なんかじゃない。
些細な事まで全部覚えてるよ。
早退してからしんどすぎて、倒れたくらい風邪が酷かったのに。
「それに………」
言葉が出てこない。
うまくまとまらない。
言いたいことは、ちゃんとここにあるのに。
「ごめん……上手く言えない…」
ねぇ、日向くんは本当に私のこと好き?
やめよう、
こんなこと考えるの。
そんなの、日向くんの顔を見ればわかるよ。
あんな優しく笑ってくれるの、きっと私だけだ。
思ってたよりずっと、恋愛は怖いものだと分かった。
私が私じゃないみたい。
触れたい。
そう、思うのに。
付き合っていないのに、
恋人でもなにもないのに、
本当に私のこと好きなのかもわからないのに、
いろんな思いが私をここにとどめて離さない。
「私のこと……………」
掠れた声が零れた。
ちゃんと聞こえたかな…?
あぁ、
こんな重い人になんかなりたくないのに、
不安で不安で仕方が無い。