ヒマワリ君の甘い嘘



「じゃあね」




二年生の階に着くと、お互いスタスタと自分のクラスに戻る。



これで何回目かな。

楽しくないお昼を過ごしたのは。



「あ。白石おかえりー!」



「ん。………ひとり?」




高崎は、日向の席に座って、ニコニコしている。



「ははは…そうなんだよね」



「日向は小夏と昼ごはんだもんねー…。しょうがないって」



「まぁな、そこは俺も我慢しなきゃね」



「なんならあたしが一緒に食べてやるよ」




「お前、彼氏居るだろ〜」



彼氏、か……




「あはは、そうだった」



あたしは楽しく笑い飛ばす。



お弁当箱を自分のカバンに押し込むと、あたしも居場所がないので、仕方なく小夏の席に座った。


気を紛らす為に、らしくもなく次の時間の予習をするフリをする。




「白石、なんかあったの?」



「……は?」



あたしもビックリした。



聞いて来るタイミングが偶然過ぎて。




「いや…ゴメン。なんかいつもと違うから……」




“いつもと違うから”



いつものあたしはどんな顔をしているんだろう。



「高崎にはいつものあたしが分かるの?」



あたしが言うと、高崎はちょっと困ったような顔をしてから、いつもの様に笑った。



「まあね〜。いつも見てるからさ」



なんだそれ。



「気持ち悪い」



「ははっ、ゴメンって」



一緒にいるひとを、巻き込んでしまうような雰囲気で、高崎は笑うんだ。



笑顔も、


声も、


見ているだけで、優しいって伝わってくる。



あたしも、高崎みたいな人になりたいな。




高崎の明るい笑顔が、何時もより痛く心に染みた。



< 133 / 201 >

この作品をシェア

pagetop