ヒマワリ君の甘い嘘
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「いらっしゃいませ〜」
変に上ずった声の店員を横目に、あたしはズラリと並んだ服を手にとっては置き、そしてまた取って、を繰り返す。
今日は小夏が日向とデートだから、ひとりで買い物。
今頃、楽しく映画でも見てるんだろうなー…
「(月曜日質問攻めしよーっと)」
キラキラ店内の照明が変わって、とても綺麗だ。
手に取る服はどれも可愛い。
今の自分には似合わない気がしてすべて元の場所に戻した。
店から出てしばらく歩くと、ポケットに入れておいたケータイがブーブー鳴る。
「(高崎から……)」
『今駅前のマックの横通った?』
……は?
どういう意味だ。
思ったことをそのまま打ち返すと、『後ろ振り向いて見て』ってすぐ返って来た。
後ろ…?
「あ、やっぱ白石だー」
「なんで居んの」
後ろを振り向くと、ケータイを手に持ったままあたしを指差す高崎。
呆然と立ち尽くすあたしに、高崎は駆け寄って来て、そのままあたしの隣で歩き始めた。
「なんか白石っぽい人だな〜って思ってライン送ったら本当にそうだった」
淡々と彼は言う。
いや、そうじゃなくて、
「こんなとこで何してんの」
「普通に買い物。暇だったし」
すでにオシャレなあんたがこれ以上オシャレになってどうすんのよ。
目の前に居る、高崎はセンスがいいから予想通り、私服もオシャレだった。
「ていうか白石の私服ってそんな感じなんだね。見れてラッキー」
なに、
急に。
そんなこと言われたら、自分の着ている服を意識してしまう。
「これから何か予定ある?」
「…?、別に無いけど」
「せっかくだし、お茶しようぜ。俺奢るから」
次々と話を進めると、あたしの手から洋服の入った紙袋を手に取ると、そのまま歩きだした。
「ちょ______
「いーからいーから」
まただ。
包み込むみたいな、笑い方。
よくわからないけど、ホッとしてしまった。
安心したってことなのかな。