ヒマワリ君の甘い嘘




***






カフェを出た後、すぐに高崎とは別れて、また一人で買い物。




さっき高崎が言ってた言葉が


あたしの頭の中で、ずっと回ってる。



よくわからないけど、その言葉をあたしをちょっとだけ強くしてくれた気がした。




笑っていれば、きっと。





「(ん………?この香水の匂い…)」




人混みの中で見つけた一人の影。




「裕_________





それ以上の言葉は出てこなかった。





高崎の嘘つき。





いいことなんて、ひとつもないじゃない。






目に映るあたしの彼氏の隣には、ベッタリと裕也に腕を絡める女。





あぁ、


ついに、


あたしが一番怖がってたことになってしまった。



いつかは絶対に来るだろうって思ってた。




ねぇ、裕也。



どうしてあたしの隣に駆け寄ってこないの?



今なら、ごめんって言ってくれれば全部忘れてもと通りにするから。



お願い…




あたしのほうこそ、

走って、隣にいる女ブン殴って、裕也はあたしの彼氏だから、って言えばいいのに。


足が動かない。


それができないってことは、もうダメってことなのかもな…




呆然と立ち尽くすあたしの目と、彼の目が偶然にもぶつかる。




裕也は、顔色ひとつ変えずに、素早くそらしてみせた。



遠ざかる二つの背中。




あたしはしばらくそれをずっと見つめて、何事もなかったかのように家へと向かった。



店を出ると、外はほんのり薄暗くて、すれ違う人に、あたしの傷ついた顔が見えにくいのに丁度良い。



なるべく人通りの少ない道を選んで家に向かった。




「白石ー!」



耳の後ろから聞こえるその声に、身体は凍りついた。




なんで、今



なんでもないような顔をして振り返る。




「ごめん、お前の買ったヤツ、そのまま持って帰るとこだった。良かったー、見つかって」



そんなの、


学校で渡してくれればいいのに。


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