ヒマワリ君の甘い嘘
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カフェを出た後、すぐに高崎とは別れて、また一人で買い物。
さっき高崎が言ってた言葉が
あたしの頭の中で、ずっと回ってる。
よくわからないけど、その言葉をあたしをちょっとだけ強くしてくれた気がした。
笑っていれば、きっと。
「(ん………?この香水の匂い…)」
人混みの中で見つけた一人の影。
「裕_________
それ以上の言葉は出てこなかった。
高崎の嘘つき。
いいことなんて、ひとつもないじゃない。
目に映るあたしの彼氏の隣には、ベッタリと裕也に腕を絡める女。
あぁ、
ついに、
あたしが一番怖がってたことになってしまった。
いつかは絶対に来るだろうって思ってた。
ねぇ、裕也。
どうしてあたしの隣に駆け寄ってこないの?
今なら、ごめんって言ってくれれば全部忘れてもと通りにするから。
お願い…
あたしのほうこそ、
走って、隣にいる女ブン殴って、裕也はあたしの彼氏だから、って言えばいいのに。
足が動かない。
それができないってことは、もうダメってことなのかもな…
呆然と立ち尽くすあたしの目と、彼の目が偶然にもぶつかる。
裕也は、顔色ひとつ変えずに、素早くそらしてみせた。
遠ざかる二つの背中。
あたしはしばらくそれをずっと見つめて、何事もなかったかのように家へと向かった。
店を出ると、外はほんのり薄暗くて、すれ違う人に、あたしの傷ついた顔が見えにくいのに丁度良い。
なるべく人通りの少ない道を選んで家に向かった。
「白石ー!」
耳の後ろから聞こえるその声に、身体は凍りついた。
なんで、今
なんでもないような顔をして振り返る。
「ごめん、お前の買ったヤツ、そのまま持って帰るとこだった。良かったー、見つかって」
そんなの、
学校で渡してくれればいいのに。