ヒマワリ君の甘い嘘
「あ、そういえば」



そう言って高崎は、ポケットからケータイを出した。



………なに?



「葵生の半目」



高崎の手に握られて居たケータイの画面に映るのは、文字通り日向の半目で。



いつもの完璧フェイスの日向とは似ても似つかなくて、



「ぶっ!」



こ、これは…


絶対小夏に見せちゃいけないやつだ!!




面白すぎる!



「たはははっ…な、にそれ…!やばッ」



「でしょ〜!前たまたま撮れてさ。ほんと、爆笑モン」



あたしは呼吸ができなくなるほど、大爆笑。



だ、だって、

あんなの、誰が見たって笑わないのは無理でしょ…!



「お腹いたッ、も…、ひゃははは!」



涙が出るくらい

お腹をかかえて、


笑った。




こんなに笑ったの久しぶりだ。




「ふふふ、…後でそれ送っといて」



「まかせろ。10枚くらい送ってやるよ」



「ふふっ、……はー、面白い」



あたしを見ていた高崎が、微笑む。



「良かった、笑ってくれて」








え____……




「お前が笑かすくらい、いくらでもしてやるからさ、あんまり泣かないで」



優しい手つきで、
あたしの目に溜まった涙を拭った。


悲しい涙とは全然違うのに、


その優しい手つきと、
優しい声と、言葉に

胸が苦しくなった。





この時だったと思う。




あたしの中の何かが変わったのは、







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