ヒマワリ君の甘い嘘
side girl
***
私と日向くんが恋人同士になって、
一ヶ月経った頃。
今はもう、夏休みの真っ最中。
ジリジリと照りつける太陽、
煩い蝉の鳴き声、
真っ青の空に、大きく佇む入道雲。
そんな楽しい楽しい夏休みの中、
私は補修で学校に来て居た。
8月の始め、赤点を取った人は、一週間補修をしに学校に来なくてはいけない。
さすがに担任も見逃してはくれなかった。
日向くんはもちろんのこと、高崎くんも
なんなくいい点数をとって、補修には来ない。
学期末テストにて、私は頑張って勉強したものの、本番は散々。
勉強しても出来ないなんて、
これからどうすればいいんだろう…
同じように赤点を取ってしまった華と一緒に、午前中の気だるい授業を受けた後、中庭で話していた。
「_裕也くんと別れたの!?」
「うん、まぁ…」
驚いて目が飛び出てしまいそうだ。
「いつ!?え?…なんで!?」
「落ち着きなよ、ちゃんと話すから」
華は余裕で、クスクスと笑う。
ど、どういうこと…!
いつのまにそんなことになってたの!?
オロオロしている私に、華はゆっくり話してくれた。
全部。
「___ちょ、小夏!?」
「う〜…、ごめん、ねっ…ぐす」
ずっと一緒に居たのに、
自分のことばっかりだった私は、そんな辛いことがあったなんて、
華がずっと一人で辛い思いをしていたなんて、
全然気がつかなかった。
わたしの馬鹿……
華には、日向くんの時も、いままでもずっと、助けてもらっていたのに。
「気づいてあげられなくてごめんねぇ〜…っ!」
中庭にいたのが、私達二人だけで良かった。
もし他に人がいたら、さらに華に迷惑をかけてしまっていたから。
「も〜、そんな泣かないでよ。もう大丈夫だから」
ポンポン、と
華が私の背中をリズミカルに叩く。
励ます側にいなくちゃいけないのに、励まされてどうするんだ!!
私はそう思って、慌てて涙を拭い取った。
「…本当にもう大丈夫なの?」
「大丈夫だって」
「嘘だー!」
「嘘じゃないってば」
別れてからそんなに日は経っていないのに、そんなこと言えるわけないよ!
私は向きになって言い返す。
「なんで嘘じゃないっていうの!」
むぅ、と頬を膨らませて聞くと、華は私を見て笑う。
「好きな人ができたとか!?」
あんなに裕也くん大好きだったんだから、まさかそれはないよね…
いや、でも
私達の前ではそういう風にみえたけど、現に華達は別れたわけだし…
私の声に、華はそっぽを向く。
そして、ボソボソと口を動かした。