ヒマワリ君の甘い嘘
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校庭にある、何本も連なった桜の木。
私たちが出会った時には、
ピンク色の花びらが少しだけ散って、緑をチラつかせて居た。
突然やって来た君が、私の隣の席に座って、
印象悪いなぁって、
思ってたのを覚えてる。
それから直ぐに、君のことを好きだと気づいて、
君が、初恋の人だと解って嬉しくて
私の人生の中で一番幸せな時間を過ごした。
桜の木が緑色一色になった時、木には蝉が何匹かくっついていて、煩く鳴いていた。
夏休みが補修で何日か、潰れたのは少し悲しかったけれど、
それ以上に、華や高崎くんと遊べたし、
日向くんにだって沢山会えた。
そして、
その桜の木の葉が、茶色くなり、
風が吹けば簡単に地面に落ちてしまう今日この頃。
楽しかった夏休みも終わり、
待ちに待った二学期がやって来た。
始業式からいくつか日は過ぎて、午後の授業が退屈になって来た頃、
私は華と一緒に、お昼を食べていた。
「華ちゃ〜ん、俺も一緒にお昼食べたいんだけど」
私と華がお弁当を置いている、机に高崎くんはすがりつく。
高崎くんは、華と付き合ってから
華のことを“華ちゃん”と呼ぶようになった。
「やだ、あたし小夏と食べるもん。日向と食べなよ」
「じゃあ四人で食べたほうが早いだろー!?」
「なー、葵生!?」と言って、口を尖らす高崎くん。
「俺は無理矢理は、食べたいと思わねーけど」
「なんだよ、…やっと夏休み終わって、学校でのリア充ライフだよー!?」
「俺らは夏休み前からだし」
頭の上で飛び交う低い声に、私は目を瞑り、お弁当を食べることに集中した。
華も知らんぷりして箸を進める。
流石に、
日向くんに対してもう緊張とか、気まずいな、とか思ったりはしないけど、
みんなの前で言われていると思うと、やっぱり恥ずかしい。