ヒマワリ君の甘い嘘
ドキドキ大作戦
side girl
***
「作戦はこうね」
チャイムが鳴る数分前。
華は私の前の席に座り、腕組みをした。
「小夏が高崎とかに話しかけても面白くないから、普段全く喋ったことのない奴にしましょ」
華はそう言って教室を見回す。
すると何かを見つけたように、ある人物へと顔を向けた。
「南田とかは? イイじゃん!」
南田くん。
南田敦己。
高崎くんとキャラがよく似て居て、頭が凄くいい。
それに加えて、男子バレー部のキャプテン。
スポーツも出来て、身長も高い。
女子から人気があるはず。
私も先生を通して、間接的にしか喋ったことが無い。
「…なんて話しかければ良いのかな…」
話しかける用件がないのに、話しかけたら
きっと気持ち悪いよね……
かといって良い案は思い浮かばないし。
頼れるのは華だ。
「勉強とか聞いてみれば?」
「あ、そっか!」
勉強なら、私が聞いてもおかしくない。
で、でも…
ちゃんと出来るのかな…わたし……
話しかけることすら出来なさそうだ。
失敗するのが目に見えている。
もし、失敗してしまったら。
話しかけることもままならずに、南田くんの前でモジモジ立っているだけならば話しかけることよりも100倍恥ずかしい。
「は、華も一緒じゃダメ…?」
「それじゃ意味ないでしょ」
キッパリと即答された私は項垂れる。
高崎くんに喋るみたいにすればいいんだよ…!
よし、出来る!!
「私頑張るね」
私の決意の声と共にチャイムが鳴り響いた。
ふと華を見れば、楽しそうに笑っている。
思い出すんだ小夏。
私だって、ヤキモチ焼くし、嫉妬だってするもん。
日向くんはそんなことも知らないで、優しく笑っているなんて…
そんなのダメだ…!!!!
立花小夏。
始めての嫉妬とともに、
好きな人へちょっとしたイタズラをしてみようと思います。