ヒマワリ君の甘い嘘

「ちょっ……!」





俺の手にビックリしたのか、小夏の身体は一気に硬直した。




「日向く……!」



「んー?」



俺の手を掴んで離そうとする彼女の手を、俺はさらにもう片方の手で押さえつける。



華奢な肩を震わせながら、小夏は口を閉じ、無抵抗になった。



震えている肩が、なんだか切なく思えた。


こうして、必要以上に俺が求めれば
小夏には恐怖しか生まれない。



どんなに好きで、愛しくて触れたいと思っても、
相手を壊しちゃ意味がない。




「大丈夫。これ以上は何もしないから」



俺の声に、小夏の身体がピクリと反応した。



「だからもう少しこのままで居ろ」



小さく頷いた小夏を確認してから、さらに俺の腕の中へと引き寄せた。



いままでなにも感じなかったこの部屋に、温もりが広がった気がする。




あったけー…




「……ぎゅー、だけ?」




小さな声で小夏が呟いた。




そしてゆっくりと後ろを振り向き、真っ赤な顔と、潤んだ瞳をこちらに向ける。





あぁ、もう最悪だ。




絶対こんな顔、誰にも見られたくないのに。


小夏には特に見て欲しくないのに。



「(ダセぇ……)」




小夏の発言に、思いっきり面を食らった俺は熱くなる顔を手で覆った。





なんなんだよもう。


こんなこと言うぐらいなら最初っから、怖がる素振りなんて見せんなっつの。



「あんまりそう言うこと言うな」



「……嫌?」



んなわけねーだろ。


好きな人にあんなこと言われて嫌な男子が何処にいる。



「違ぇよ、バーカ」



グイっと手を引き、体勢を変える。



立場逆転。


小夏をソファーに追いやり、俺は小夏の上に跨った。




「あんま煽んなっつってんの」




ーチュ




小夏の目が閉じるのを待たずに、俺は軽くキスをする。


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