ヒマワリ君の甘い嘘
「・・・・」





何か、話さなくては。





ちゃんと母さんに、謝らなくては。




そう、思うのに。




母さんの顔すらまともに見れない。




最悪だ。




なんの為に来たんだよ。



小夏が背中押してくれたっていうのに、


なんで……俺は………







「…ごめんなさい」




「…………は」




前を向けば、母さんが頭を下げていた。




「わたし……貴方に酷いことした…」




なんで母さんが謝ってるんだ?





「本当、ごめんなさい」




やめろ、それ以上喋るな。


それ以上頭を下げるな。



悪いのは全部、俺なのに_____





「謝んなくていい」



「……え?」




俺の言葉に顔を上げた母さんの目には、うっすらと涙がたまっている。




何してんだよ、俺は……___





「母さんが謝る必要ねぇよ」




ぜんぶぜんぶ、

俺が悪いんだよ。




「ごめん、母さん。殴ったりなんかして」



立ち上がって頭を下げた。





「ごめんなさい…」





謝って済むことじゃないのだろうけど、




やっと言えた。





やっとやっと、言うことができた。



ずっと言いたかった言葉。







「葵生、顔を上げて」




顔を上げた俺を見て、母さんは続ける。




「貴方の目で沢山悩んだ、……どうしてそんな目の色なんだろうって、何度も思った」




「・・・・」




「いろいろな人とにいろんなこと言われて、私すごく辛かったの…」




俺は黙って目を伏せた。




「だけど、一番辛かったのは貴方よね…」




“それをわかっていてあんなこと言って、本当にごめんなさい”



そう言って、母さんは泣きながらまた頭を下げた。




「私が味方になってあげなきゃいけなかったのに……」




パタパタと、涙がデーブルに落ちていく。









「独りにしてごめんね……」








何度も何度も頭の中で再生されるその言葉。




あぁ



俺、


ずっとずっと






独りで恐かったんだ。








泣いてしまいそうになる俺の頰に、じんわりと温かいものが触れる。



懐かしい手のひら。





「こんなこと言っても、今更って感じだろうけど…」






温かいものが、俺の頬を伝う。



次々に、溢れてくる。






「私ね…貴方の眼の色、大好きなの」






涙でぐしゃぐしゃな顔をしているのに、母さんは笑った。




俺の目を見て。





「……っ」





いろんなものが溢れる。



ドロドロしていたものとか、全部。



たった一言言われただけなのに、




抱えてたものが一気に軽くなった気がした。








小夏…

行けって行ってくれてありがとう。





本当、来て良かった……









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