ヒマワリ君の甘い嘘
“一旦離れて”と言われ、日向くんと距離をとると、彼は大きく息を吐いた。
何がどうなってるんだ。
……っていうか、日向くんだいぶ落ち着いてるし昨日までの日向くんと全然違うし…
そんなにお母さんたちとうまく行ったのかな…
ということは、
日向くんが一人暮らししてるのは、お母さんとの喧嘩(?)が原因なんだよね?
仲直りしたってことは…___
「日向くん、お母さんたちと暮らすの?」
「はあ?」
「えっ、あぁゴメン!急に話題変えちゃって!」
「いや…いいけど。なに、どうしたんだよ」
「前聞いた一人暮らししてる理由が、解決したんだよね?だったら、みんなと一緒に暮らすのかなあって」
「あぁ、そういうこと」
アレ。
なんか、めっちゃ見られてない……?
ジーっと私を見てくる日向くんの表情は、赤ひとつない。
「……あぁ、一緒に暮らすことになった」
「本当!?」
そっか……、一緒に暮らす事になったんだ……
「意味、わかってる?」
「……え?」
“意味”……?
「あっちの家、ここから電車で一時間くらいの所にあんの」
「うん……」
そんな遠くにあったんだ…。
だけど、それがどうしたんだろう。
「要するに、俺引っ越すってわけ」
「そう…なんだ……」
「転校するって言ったらどうする?」
てんこう……
…え?
学校、変わっちゃうの?
そんなの___
「……やだよ……」
嫌に決まってる。
学校で、
華や、高崎くんや
日向くんと話たり、
みんなでお昼食べたり、
一緒に帰ったり、
そんなことが出来なくなるなんて、
嫌だよ。
「 ぷ 」
・・・・
…………へ?
今、笑ったよね…?
「冗談だよ」
「え……や……、……えっ!?」
何が冗談なの!?
どこからが冗談で、どこまでが本当なのか訳がわからない。
「悪い、からかいすぎた」
「えっ……じゃあ転校は?」
「しないって」
「ひ、引っ越しは?」
「それもしない」
な、なんだそれーーーーー!!!!
冗談にも程があるよ日向くんのアホ!
半泣きになってまで、私バカみたいじゃん!