ヒマワリ君の甘い嘘




意味がわからない。




どういうこと?




今あたしがした涙の熱弁は?





「俺、ずっと華ちゃんが無理して付き合ってくれてるのかと思ってた」




高崎は机の上に伏せながら言う。




無理して付き合って……


って



「んなわけないでしょ!?」




無理してたらとっくに別れてるわよ!!



「いや…だって、いつもそっけないし俺ばっか話してるし」




「そ、れは……その、なんていうか……」




…………たぶん照れ隠し。




そんなこと、言えないけど。





「だから必要以上に近づいて嫌われるなら、ずっとこのままでいいや…って」




「なによそれ……」




いままで考えてたことが、馬鹿みたいだ。




なんだか急に胸が苦しい。




高崎の言葉が、

声が、

照れた顔が

あたしの心臓をぎゅうぎゅう締め付けてくる。





きっとこれは

彼が好きで好きでたまらない証拠。




「…………あたしの事好きなら、必要以上に近づきなさいよ…」




「へ?」




自制心なんか、今のあたしにはまるでなかった。




「〜〜〜ッ!」



高崎はポカンとしている。




「…心配しなくても、アンタのこと好きって言ってんの!!それくらい察しなさいよ馬鹿!」





耳まで熱い。



高崎からはなんの返事もを帰ってこなくて、さらにあたしの顔を熱くする。



静かに立ち上がった彼は、無言のままあたしのことを立たせた。



「な、なに_____ッ」



高崎の大きな手が、私を引き寄せた。



「俺、幸せすぎて死にそう…」



今度は心臓だけじゃなくて、身体ごと高崎にぎゅうっと抱きしめられる。




彼氏に抱きしめられる、

言葉ではたいしたことないのだろうけど


こんなにも幸せな事なのかと、


嬉しくて、涙が出そうだった。




「言っとくけど、俺が華ちゃんのこと嫌いになることなんてありえないよ」



耳元で囁くその声は、何時もの彼の声とは少し違う。



「何年越しの片想いだと思ってんの?」




ドクンと、心臓が大きく跳ねた。



< 199 / 201 >

この作品をシェア

pagetop