ヒマワリ君の甘い嘘
その男の子は、真っ直ぐ私のいる所に向かって走ってくる。
私と同じ空間に走り込んできた男の子は、息を切らしながら体についた雨粒を払った。
そして私に気づくと、びくっと体を跳ねさせ目を丸くした。
ほんの一瞬だけ、交わった視線。
私は完全に視線が交わってしまう一歩手前で、あわてて目をそらした。
「(ど、どうしよう…)」
俯いたまま、チラリと隣を見ればさっきまでの私の様に空を見上げる見知らぬ男の子の横顔。
鼻は高くて、睫毛が長くて。
短い髪の毛から滴る水滴が滑る様に、その綺麗な肌を駆け下りた。
私とそんなに年は変わらない様に見えるけど、童顔な私に比べて大人っぽくて色っぽい。
妙にドキドキする胸を右手でギュッと抑える。
「雨、止まないね」
「へっ!?」
急に話しかけてきたその子は、まだ空を見上げたまま。
少しかすれた低すぎない声。
私が顔を真っ赤にしてみていると、彼はふと私の方を見た。