ヒマワリ君の甘い嘘
横顔だけでも綺麗だって分かっていた。けれど正面から見たその子の顔は、私が想像していたよりずっとずっと綺麗だった。
それと、
こっちを向いた彼の目が__
「(綺麗……)」
日本人離れした、色素のぬけた瞳の色。
茶色を通り越して、ベージュに近いというか…、
ビー玉みたいに丸くて、透き通っていて
とにかく、とても
綺麗だった。
「雨、止みそうにないよね」
彼は微笑みながらそう言う。
見とれていた私は、ハッとして答えた。
「そ、そうだね…!」
あからさまにテンパり過ぎている私を見て、クスリと笑うと
カバンの中に手を突っ込んで何かを探し始めた。
「はい」
差し出されたその手にある、見るからにふわふわなタオル。
「……え!?」
「大丈夫。まだ一回も使ってないから」
「…いや、でも…」
首を横に振る私を見ると、彼は小さく息を着き、ふわりとそれを私にかけた。
視界の半分がふわふわしたものに包まれる。
柔軟剤のいい匂い。
「あの……」
「ごめん、臭かった?」
冗談交じりに笑う彼の声を辿って、少しだけタオルをズラして見ると、目を細くして大きく笑った顔。
雨が降っているなんて嘘みたいに。
まるで太陽みたいな笑顔だった。