ヒマワリ君の甘い嘘
そう、私のすぐ後ろから声がした。
目を開けると、視界の隅から伸びている長い手。
それは、落ちてきそうな箱をかろうじて支えて居た。
上を見上げると、日向くんの顔があって。
「ご、ごめんなさい!届かなくて...」
「なら呼べよ。俺が取ったのに」
そう言って日向くんが箱を中に押し込む。
ち………近い…………
少し首を上に向ければ、日向くんの綺麗な首筋が目の前にある。
ふんわり香る、香水のような甘い匂い。
多分日向くんの匂いなんだろうけど…、風邪で寝込んでいてもこんなにいい匂いするものなのかな。
箱を押し込んだ日向くんは、私から離れると、不安定な私の手から塩の袋を取って渡してくれた。
「あり…がと…」
「ん。」
そう言った後、咳をしながらリビングに戻って行ってしまった。