ヒマワリ君の甘い嘘


その場に取り残された私は、お粥が煮詰まって、グツグツという音が聞こえるまで、しばらくボーッとしていた。



顔が、熱い。



近くにいて、気づいたけど、日向くんすごいおっきい。


私より頭ひとつかふたつぶんくらい、大きい。



「(男の子だな........)」



ぎゅっと、お塩の袋を握る。


あ、いけない。お粥焦げちゃう。


ハッとして、火を止める。
落としかけた塩でお粥に味をつけてから同じ鍋を洗って、スープを作った。



できたお粥とスープを、食器棚から適当に選んだオシャレな器に盛ると、こぼさないようにリビングまで持って行く。





「おー!やるじゃん小夏ー!」



「うまそー!俺も風邪引いた時作ってねー!」



案の定ソファでテレビを観ながら座っている華と高崎くんは楽しそうに話している。


あれ…?これってもしや…いい感じじゃ…____って!私は華の味方なんだから!!



「あの…日向くん。これ…」


テレビから視線をはずした日向くんは、立ち上がって私の手からそれを取った。


「悪い、今食欲ない。…あとで食べる」


私にそう言うと、お盆ごとキッチンに運び、冷蔵庫の中に入れた。


ちょっとだけ、感想聞きたいな、なんて思ってたのに…



でも、日向くん病人だし…!!


「食べる時レンジで温めて食べてね」


「わかってる」



サラリとした返答に、苦笑いしてから華と高崎くんを連れて、私たちは日向くんの家を後にした。



私たちを見送る時も、日向くんはやっぱり辛そうで、少し心配。



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