ヒマワリ君の甘い嘘
「いやー、お見舞い行ったのに楽しかったね!」
「だなー!あいつの家広いし何もないから居心地いいわー」
華と高崎くんはすっかり仲良し。
そういえば中学が一緒って言ってたっけ。
私は二人のあとに続いて歩きながら、キッチンの事を思い出す。
いい匂い、したなー……
振り返った時の日向くんの顔を思い出すと、少しだけ心臓が早くなるのがわかる。
日向くんと喋ると、答えに困る威圧的な言葉か、悪口しか返って来ないのに。
妙に優しい時もあるんだ、なんて少し浮かれてしまった。
きっと、日向くんが風邪のせい。
明日になれば、風邪も治って、いつもみたいにしかめっつらに戻る。
「そういえばさー、王子ってなんで一人暮らしなの?」
「あ、それ私も思った」
華が高崎くんに聞いた。
「それは俺も聞いたことないな〜。なんでだろうね」
高崎くんが笑って言うと、華はふーんと言ってまた話題を変えた。
両親と別々に暮らしてるって…何か複雑な事情でもあるのかな…
ま、私たちが気にすることないか…