ヒマワリ君の甘い嘘
その姿に、可愛いな、なんて思ってまた笑ってしまう。
その子をよく見ると、俺よりビショビショに濡れていて。
俺より早くここにいたのに、そんなに走るの遅かったのだろうか。
「はい」
俺はカバンの中からタオルをだすと、その子に差し出した。
俺の手の上にあるタオルを見た彼女はまた、驚く。
「大丈夫。まだ使ってないから」
つか、使ってたら貸さねーし。
そんな汚いモン、貸せるかよ。
「いや、でも…」と戸惑っている彼女に、俺はふわりとタオルを被せた。
早くしないと、風邪ひくのに。
「あの……」
さっきまで俺が持っていたタオルの隙間から不安そうに顔をのぞかせた彼女が言う。
その姿が、可愛くて。
俺は冗談で「ごめん、臭かった?」なんて言ってしまった。
笑っている俺に、
「ううん。…ありがとう」
と彼女も笑う。