ヒマワリ君の甘い嘘
「そんなこと思ってないよ……。…今日せっかく早く帰って来たんだ、葵生が帰ってきたらすぐご飯食べれるように準備しよう」
「…………えぇ、そうね……」
母さんはまだブツブツとなにか言っている。
俺のことで、何かあったのか…?
母さんがあそこまで声を上げるなんて、異常な事は分かっている。
だけど、大事なところが分からない。
母さんが晩飯の支度を始めたので、俺は静かに自分の部屋へ向かった。
なんだか、嫌な気がしてたまらない。
俺は不思議と恐怖感を覚えた。
しばらくしてから一階に降りると、そこにはいつも通りの母さんと父さん。
「ただいま」
「あらおかえりなさい。ご飯食べるわよ」
「おかえり葵生」
何か隠されているのはわかっているけど、それがどうしようもなく頭に触る。
さっきからずっと苛々している俺は、何も話さずに席についた。
「いただきます…」
いつもと変わらない味。
今日は俺の好きな肉じゃがなのに。
全然味がしなかった。