ヒマワリ君の甘い嘘
心の中のしこりを残したまま、俺はその日を過ごした。
***
次の日。
俺はまたあの子に会わないかな、なんて期待しながら、家に帰っていた。
その予想はもちろん外れてしまったけど、家に向かう。
視界の中に、俺の家が見えたぐらいの距離の道路。
道端で話している近所の人の視線を感じた。
気のせいかな、と思ったけれど、どうやら気のせいではないみたいだ。
やっぱり、見られてる。
「(なんだ……………?)」
俺は気付いて居ないフリをしながらなるべく近くを通った。
叔母さんたちがヒソヒソと話している。
俺が音楽を聞いていると思っているのか、普通に聞こえる声で。
「ホラ、あの子よ」
「あらほんと、外国人なの?」
「いいえ、親御さんはどちらとも日本人なのよ」
目の、ことか…
少しだけ納得ができた。
なんだ、そんなことか、早く立ち去ってしまおう、そう思って足をはやめようとしたとき。
「本当は旦那さんの子じゃないんじゃないの?」
「私、日向さんの奥さんの変な噂聞いたことあるわ」
「ほらやっぱり。きっと旦那との子じゃないのよ。嫌ね〜」
「嫌だわ〜。あっ、そうそう。日向さん、ゴミ出しのマナーも悪いのよ〜。なんとかしてほしいもんだわ」
叔母さんたちが話している内容は、俺の予想を超えていて、立ち止まってしまいそうになるくらいだった。
なにを言っているんだこの人たち…
俺は母さんの子だし、なんだよ、変な噂って…。
このことか、その時俺は確信した。
きっと母さんは、近所の人になにか言われているんだ。
こんな風に。