ヒマワリ君の甘い嘘


自分の席に着いてから気がついたけど、いつも携帯を弄っている日向が、今日は机に肘を着いて高崎くんと話している。


珍しい姿に少し驚きながら日向くんにもご挨拶。



「おはよう日向くん」



「あぁ。おはよう」



そっけない返事に苦笑い。


ほらね、
やっぱりいつもの日向くんだ。




「(そういえば…お粥食べてくれたのかな……)」


少し気になるけど、わざわざ自分から聞くのも恥ずかしい。


結局、ホームルームが始まるまで私はお粥の感想を聞こうか迷っていた。


冷蔵庫に他の食べ物も入れといたからそっち食べちゃったのかも。

でも“あとで食べる”って……


あぁ、もう。

なんでこんなこと私がぐちぐち考えているんだろう…



ホームルームが始まってから、担任の話しが始まったけど、クラスのみんなはまるで聞いていなくて。

いつにもましてざわざわしている。


気にせず話している担任もどうかと思うんだけど…



「 立花 」


突然隣から聞こえる声。

……………


今のって…

日向くん…?


始めて名前呼ばれた。


「な、なに?」



名前を呼ばれただけで意識してしまっている私が情けない。


しょうがないじゃん。
私、日向くんとそんなに話したことないもん。


それに、あんな優しい声なんて初めて聞いたし…


いつもはもっと怖いのに。



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